[写真]Dinosaur Pile-Upに聞いたサウンドの源流(1)

破壊的サウンドとメロディアスの混在が特長のDPUサウンドはなぜ生まれた?日英ロックの違いにも見解を示してくれたDinosaur Pile-Up(撮影・紀村了)

 UK出身3人組ロックバンドのDinosaur Pile-Up(ダイナソー・パイル・アップ、略・DPU)が今年も来日し、夏フェス「サマソニ」で存在力を見せつけた。昨年初来日した彼らは、世界的にも権威のある英・音楽誌「NME」をはじめ各国のメディアから称賛を集め、更に欧州や北米、南アジアでツアーを展開するなど世界的にも評価されている。

 そのサウンドは90年代の潮流であった、パンク、グランジの流れを汲むオルタナティブロックをベースとし、機材をも壊してしまう、まさに恐竜のような破壊力を持ったプレイが印象的だ。しかし、へヴィロックサウンド上に映えるメロディーも特徴的で、「ヘビーでメロディーが綺麗な音楽」は他に一線を画す魅力でもある。その両極を絡めた“DPUサウンド”はどのようにして生まれたのか。

 ミュージックヴォイスでは今回、来日した、ボーカル・ギターのMatt Bigland(マット・ビグランド)、ドラムスのMike Sheils(マイク・シールズ)、ベースのJim Cratchley(ジム・クラッチリー)の3人にインタビューを実施。

 ニューアルバム『ELEVEN ELEVEN』(10月21日発売)の制作エピソードや、彼らの根源となる音楽的背景、DPUサウンドに影響を与えたアルバム、そして、海外と日本のロックの違いから、音楽シーンが抱える問題など多岐に渡って語ってくれた。  【取材・平吉賢治】

真剣に聴く日本のファンに敬意

[写真]Dinosaur Pile-Upに聞いたサウンドの源流(2)

Matt Bigland(マット・ビグランド)

――早速ですが日本でのライブ、サマーソニックのステージはどうでしたか

マット  最高のステージだったよ! とても思い出に残るライヴになった。

マイク 東京と大阪に出演したんだけど、もうフェスとして素晴らしかった。僕らがプレイしていない間も、会場に着いて帰るまでずっと楽しかった。特にファンの反応がもの凄く良かったのが実感としてあったよ!

――UKでも「グラストンベリー」など大きなロックフェスがありますが、祖国のフェスと日本のフェスとの大きな違いは

マット  雨だね(笑)UKでは絶対に雨が降る! あとは…「違い」という点で言えば、やっぱりオーディエンスが一番異なると思うよ。日本のオーディエンスは一生懸命に自分たちの曲を聴いてくれている、というのが実感したことだった。曲をしっかり聴いてくれる、というのはミュージシャンとしては一番嬉しい事なんだよ。僕らが出演した(サマソニで)は、朝11時からのステージだったというのに、皆すごく集中して聴いてくれていた! 曲の間も騒いだりしないで、何を演っているのかをちゃんと聴いてくれていた。それが嬉しいんだ。日本ではまだ僕らの事を知らない人の半分くらいは居ただろうに、とても盛り上がっていた。UKでは僕らの事を知っている人は多いんだけど、そこが大きな違いかな。

――UKでは必ずと言っていいほど雨が降るとの事ですが、雨が及ぼす音楽への影響はありますか

マット  雨の雰囲気に合わせて弾くのは慣れているよ。UKのフェスで雨が降る、というのはだいぶ経験しているし。UKの雨は大っキライだけどね! でも、東京とか大阪の雨はすごい好きだよ。冷たすぎないし、歩いていてもそんなに気にならないしね。渋谷で見た雨に夜景が射す光景、あれがとても綺麗で好きなんだ。

ヘビーでメロディーが綺麗な音楽

[写真]Dinosaur Pile-Upに聞いたサウンドの源流(5)

Mike Sheils(マイク・シールズ)

――ニューアルバム『ELEVEN ELEVEN』は、現在のラインアップでレコーディングされたそうですが、これまでの録音と大きく違った点は

マット  やっぱりプロセスが大きく違った。それまでは、楽器から何もかも全部自分でやっていて大変だった。でも、今回は3人でプレイをして、マイクはドラムを、ジムはベースをそれぞれ最高のプレイをしてくれているから自分はそこの心配をしなくていい。だから、凄くやりやすかった。サウンドも更に良くなったし、ラクにもなった。何よりも楽しくできたよ! それがアルバムとして自分達のサウンドをより良く捉えてライブ感溢れるサウンドになった。それが今回、初めて出来たんだ。

マイク これまではもともと出来ていたアルバムの楽曲をライブで再現するにあたって練習する、という流れだったんだけど、今回は最初からライブを意識して創っていった。それが一番今までと違う点だね。

――新作はこれまで以上にヘビーな仕上がりですが、そこは“へビーさ”を意識してサウンドを作っていったのでしょうか

マット  去年ツアーをしていて気づいたんだけど、ヘビーな曲をたくさん演じるのが楽しいんだ。それでセットリストもどんどんヘビーな曲ばかりになって。アルバムを作るにあたって、もっとヘビーなものを作りたいっていう風に思う様になっていったんだ。という事は、曲をもっとヘビーにしていく方が自分達はうまく出来るんじゃないか? という感じがあって。今回はよりヘビーなライブ感のエネルギーを捉えるアルバムにしたかったんだ。その方向性がこのバンドをよりユニークなものにしていくと思ってね。メロディーがありつつ、ヘビーなサウンドをやっているバンドがあまりいないんで、そこに自分達の個性が際立つと思ったんだ。プロデューサーのトムがライブのヘヴィーな特性を捉えながらメロディーを取り入れるのがとても上手い人なんで、今回の曲の選択についてはトムのアイディアをいくつも取り入れた部分があったので、そういうアルバムになったんだ。

――そういった、DPUのヘビーさの中にメロディーが映えるサウンドがとても好きです

マット  いいね! そう言ってもらって僕らのミッションは達成したよ! ありがとう! 子供の頃からずっと聴いてきた音楽は、ヘビーさとメロディーが一緒にあるのが多かったので、本当の意味での「ヘビーでメロディーが綺麗な音楽」を創りたいという思いがずっとあったんだ。

子供の頃に想像した音楽ができている

[写真]Dinosaur Pile-Upに聞いたサウンドの源流(3)

Jim Cratchley(ジム・クラッチリー)

――メロディーについて思ったのが、ギターポップやその他の音楽からの流れです。DPUの音楽性でもある、ヘビーロックやグランジ以外にはどういった音楽を聴かれているのでしょうか

マット  まず、メロディーがポップなのは母親のせいだ(笑) 母が音楽好きで、車の中でTHE BEATLES(ビートルズ)やThe Kinks(キンクス)、The Beach Boys(ビーチボーイズ)、ABBA(アバ)なんかをカセットテープでよく聴かせてくれたんだ。それだけじゃなくて80年代のハードロック、Rainbow(レインボー)なんかも子供の頃から聴いてきたね。それもありつつ、10代の頃にはグランジやヘヴィーロックも聴くようになってきてね。それでそういう2つのサイドが出来てきたんだ。

――グランジやヘビーロックといった評価をDPUは受けていますが、そこは特に違和感などはありませんか

マット  子供の頃から皆それぞれバンドをやりたい、音楽をやりたいって思っていて。その時にやりたいと思っていた事が今やっているバンド「Dinosaur Pile-Up」なんだ。10代の頃「こういうバンドをやりたかった」というイメージがあって、今、その本当にやりたかったバンドをやっている。だからグランジやヘビーロックと言われて違和感ないし、むしろ褒め言葉だよ。

――90年代のグランジやヘビーロックで好きなアーティストを挙げるとしたら

マイク NIRVANA(ニルヴァーナ)が最初に音楽が好きになったキッカケだね。

ジム WEEZER(ウィーザー)のファースト。青いアルバムのやつね。最初に自分のお金で買った盤は「Never Mind」(ニルヴァーナ)さ。それまでは家族が聴いているのを一緒に聴いていた。

マット  Foo Fighters(フー・ファイターズ)の1作目と2作目が特に好き。実はそれ以降の作品はあんまり。自分にとってFoo Fightersの1stはハードなんだけどビートルズを思わせる所があって、そこが好き。あとはRage Against The Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)やThe Smashing Pumpkins(スマッシング・パンプキンズ)かな。Foo Fightersの1st、ニルヴァーナの「Never Mind」、ウィーザーの1stはこのバンドにとって凄く重要なアルバムだよ。

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