110530-ラルク ロックバンドのL’Arc~en~Ciel(ラルク・アン・シエル)が28、29日、東京・味の素スタジアムで20周年記念公演「20th L’Anniversary Live」を行った。台風接近のなか、hydeさんは「L’Anniversary へようこそ! 今日の雨は演出なんで。最後に虹がかかるようになってますから」と笑顔でファンを迎え、新旧全45曲を熱唱した。
 どれだけ多くの人がL’Arc~en~Cielを待ち望んでいたかということは、10万枚のチケットの瞬時ソールドアウトという事実に表れている。5月28日~29日の2daysで開催された“20th L’Anniversary Live”。1日目は1stアルバム『DUNE』~『HEART』の楽曲中心、2日目は『ark』『ray』~『KISS』の楽曲中心に構成されることが 事前発表されていた。全45曲、全曲かぶりなし。バンドの結成20周年を完全網羅した、ベストとも、ヒストリーともよべるステージ。どんなナンバーを演奏 してくれるのか? 多くのファンは期待に胸ときめかせていたに違いない。
 会場は、東京・味の素スタジアム。サッカースタジアムとして機能する巨大施設はこの日、約5万人がL’Arc~en~Cielの20周年を 祝福するサンクチュアリとなっていた。午後5時、キックオフの瞬間がついに訪れる。雷鳴のような音が場内に轟くと、L’Arc~en~Cielの楽曲を アレンジしたト ラックをBGMに、過去からのドキュメンタリー写真の数々が巨大ヴィジョンに映し出された。その音はやがて鐘の音に代わり、客席最後方に 着けられた黒塗り のハマーリムジンからメンバーが登場。場内左右に突然現れたレッドカーペット上を一歩一歩踏みしめるようにステージへ。
 オープニングは「In the Air」だった。tetsuyaのベースフレーズが奏でられると、hyde、ken、yukihiroが徐々に演奏に加わる、ゆったりと静かに、しかしMAXまで高揚していくドラマティックな幕開け。続く「Caress of Venus」「Vivid Colors」といった華やかな楽曲で、早くも会場のヴォルテージが最高潮に達したかのような盛り上がりをみせた。
 「L’Anniversary へようこそ! 今日の雨は演出なんで。最後に虹がかかるようになってますから」というhydeの第一声。続いて、「今までみなさんはL’Arc~en~Cielと共に過 ごしてきたんでしょう? 曲を聴くといろんな“想い出”を思い出すんでしょう?」と問い掛ける。
 前述したように、この日は1stアルバム『DUNE』から『HEART』(’98年発表)の楽曲が中心。演奏された全22曲は、シングル ヒット曲から、コア に愛され続ける名曲まで、ライヴでやったら盛り上がらずにはいられないナンバーの揃い踏み。とりわけ、中盤に披露された「As if in a dream」「Floods of tears」などは、実に十数年ぶり。yukihiro加入後のステージで初めて演奏されることになったこれらナンバーは、hyde曰く「今日はかなりコアな5万人が集まってるってことですね。すみずみまでマニア(の顔)が見えます」という、超満員の客席からの大声援で迎えられた。
 また、L’Arc~en~Cielらしい華々しくユーモラスな演出もそこかしこに。たとえば「winter fall」演奏後のインターバルでは、各著名人(!)参加による同曲のリレー歌唱映像がヴィジョンに映し出されるという、趣向を凝らした祝福場面も。そし て、この日のハイライトは最後に演奏された「虹」。その前にhydeはこう語った。
 「このライヴの収益は全額義援金として被災者に送られます。メンバーで話し合いをして、意見を交換して出した結果です。とても L’Arc~en~Cielらしくていい決断だと思いました。メンバーがカッコいいなと思いました」と改めてファンに報告。そして、「今日という日を迎えられて本当にう れしいです。希望 が見えづらくなっているから、みんなで前に行けたらなと思って、今日を迎えました。ありがとう。…止まない雨はない。最後に「虹」を聴いてください」
 これには客席から大きな祝福が感動の拍手としてステージに注がれた、それも雨が一時的な弱まりをみせるという天候の奇跡も味方につけて。半円状のトラスが幾重にも弧を描くステージセットには“虹”が浮かび上がり、力強くも優しいサウンドが会場いっぱいに溢れる。hydeの瞳に虹の欠片が光る と、ライヴ初日の幕は下りた。
 そして2日目。L’Arc~en~Cielにちなんだメニューが人気の恒例 企画「L’Arcafe」、メンバーの待ち受け画像がダウンロードできるサービス等、20周年を祝う周辺の賑わいを抜けて、会場へ。
 結論から言えば、この日、ステージ上の4人がはじき出す演奏に改めて圧倒された。巨大野外スタジアムに加えて豪雨という、音響面での難しさがつきもののシチュエーションにもかかわらず、身体がビリビリ震えるほどすさまじいサウンドに圧倒される。これは、ただ単に音がデカいとかそういう類のものではない。音 の分離が良く、その1つ1つに威力があるのだ。結成から20年を迎える今年、音的に、精神的に育まれた彼らが打ち出したものは、やはり正真正銘のバンドサウンドだった。
 ライヴのスタートは昨日同様の轟音。スクリーンに映し出されたドキュメンタリー写真は『ark』『ray』以降のものとなっていた。そして、ステージ袖からyukihiroが登場。客席へ大きく手をかざすと、疾走する8ビートを刻みつつメンバーの登 場を待ち受ける。「READY STEADY GO」で幕を開けたステージは、予告通り『ark』『ray』~『KISS』の楽曲中心に構成されていた。2日目ものっけからアクセル全開。花道を含めて 左右幅100mはあろうかというステージの端ま
で、ワイドに展開されるパフォーマンスに場内も大きな盛り上がりをみせる。
 「成人式へようこそ! 二十歳になりました。オトナになったんで、自分の責任で今まで以上に暴れたいと思います。一緒にいこうぜ!」とhydeまた世界の劇場で開催されたライ ヴ・ビューイングinシアターへ向けては、かけていたサングラスを上げて、「ハロー、アンニョハセヨ、ボンジュール。ニイハオ。あと、コンニチハね」と各 国の言葉でご挨拶する場面も。
 プレイ的な圧巻は、hydeとkenが刻むユニゾンリフがヘヴィに響く「HEAVEN’S DRIVE」。スピード感があってスリリングなインターは、一朝一夕には成し得ないバンドグルーヴの成せるわざ。プレイヤー個々の高度な技術がそれを裏打ちしていた。また、オープニングナンバーの「READY STEADY GO」ではyukihiroの疾走する正確無比なリズムを際立たせる楽曲アレンジが施されていたように、各メンバーのサウンド&プレイスタイルが大きくクローズアップされる場面が随所に見受けられた。「叙情詩」のイントロでは、その豊かな表現力に場内が思わず息を飲んだhydeの独唱、「STAY AWAY」のオープニングでは深く歪んだサウンドを駆使したエモーショナルなtetsuyaのベースソロ、「MY HEART DRAWS A DREAM」のオープニングでは透き通るようなサウンドが上空高く突き抜けるkenのギターソロなど、それらもこの日のハイライトの1つだったと言って過言でないだろう。
 さらに言えば、“20th L’Anniversary Live”は、これまでの楽曲が再生されることの喜びに加えて、“現在”、そして“これから”のL’Arc~en~Cielサウンドを映し出していた。今 後発表される新曲「GOOD LUCK MY WAY」のオフィシャルインタビューでも述べられていることだが、テクニック面も含めたhydeの歌唱法、kenのギターイクイップメント、 yukihiroのプレイスタイル…これらの意図的な変化に加えて、tetsuyaのバンドに対する使命感や責任感が、強い意志としてL’Arc~en~Cielを加速させている。今なお進化を遂げる新しい4人のサウンドに気づいたファンも多いのではないだろうか。その 事実を裏付けるよ うに、6月29日にリリースされる結成20周年第一弾シングル「GOOD LUCK MY WAY」は、これまでの色彩感豊かなサウンドに加えて、2011年版L’Arc~en~Cielの新機軸が確実に刻み込まれているのだ。
 もちろんこの日もユニークな演出があった。再び各著名人参加による 「HONEY」の歌唱リレーは客席から感嘆と笑いが巻き起こる。その直後にL’Arc~en~Ciel版の「HONEY」が演奏されて、会場を大いに盛り上げた。
 長いインターバルを挟んで、白塗りのハマーリムジン(初日は黒塗り)でメンバーが再登場した。会場最後方からレッドカーペットを歩んだ後、場内が暗転。スクリーンにL’Arc~en~Cielからのメッセージが 映し出された。
 「ありがとう 我々は新たな未来へ向かいます 次の一歩を踏み出します みんな一緒に行こう そして 今日ココへ来れなかった人の想いも 連れて行きます 共に乗り超えよう これからも一緒 I love you」
 直後に披露されたのは「forbidden lover」だった。“崩れゆく舟に命つかまれ/瓦礫に築く楽園/叫ぶ 神の名を…”祈りにも似たこの楽曲が、今、演奏された意味はとてつもなく深い。続く「MY HEART DRAWS A DREAM」では会場の5万人が“夢を描くよ”と、大合唱。魂を吹き込まれた言葉が、希望の光のように優しく響き渡る。さらに“新しい旅が始まる”と告げた「GOOD LUCK MY WAY」。…この一連の流れは、メンバーからの"願い"だったのではないだろうか。ライヴ演奏というメッセージ。会場のファンはもちろん、いつか L’Arc~en~Cielのライヴへ行くことを夢見る人を優しく励ましてくれるような…。彼らの音楽を糧に、今日という日を前向きに生きていける、そう思えてならなかった。
 「L’Arc~en~Ciel はたくさんの人が関わって、巨大な舟になったなと思ってるんです。何度も暗礁に乗り上げて、その度、メンバーとスタッフが一緒になって乗り越えてきました。今日は来てくれて本当にありがとう。みんな口ベタなので、演奏で気持ちを伝えたいと思います」というhydeのMCで始まった「BLESS」。5万人 の味の素スタジアム、そして世界各地のライヴ・ビューイングinシアターに集まった人々、さらには観たくても観られなかった1人1人の心に歌いかけるような4人の姿には、どんな言葉も陳腐に色褪せてしまう包容力があった。すべての演奏終了後、巨大スクリーンに映し出されたのは、2011年~2012年、彼らの新たな未来。
 まず、“TOUR 2008 L’7~Trans ASIA via PARIS~”以来、約3年ぶりとなるツアーが決定した。開催は2011年秋。その名も“20th L’Anniversary Tour”。9月10日(土)~11日(日)のさいたまスーパーアリーナ公演を皮切りに、12月03(土)~04日(日)の京セラドーム大阪まで、全国5 大都市のアリーナ会場を廻る。
 さらには、2012年にWorld Circuitも決定。発表された海外都市は、HONGKONG、SHANGHAI、TAIPEI、BANGKOK、NEW YORK、LONDON、PARIS。それに加えて、TOKYO。また現在のところ “and more!!”と表記されている…ということは、今後の追加発表が期待されるところだ。
 最後に、世界各地で開催されたライヴ・ビューイングinシアターの模様も記しておこう。このライヴは海外6都市(パリ、ロンドン、ニュー ヨーク、台湾、香港、ソウル)9ヶ所の劇場および日本国内の映画館(40劇場)に同時生中継され、日本そして各国のファンがライヴ・ビューイング体験に酔いしれることとなった。また、劇場チケットを求め、発売前夜から劇場に並ぶ徹夜組を含む長蛇の列も。結果、チケットは発売からわずか1時間あまりで完売。それを受けて急遽上演スクリーンを追加したほどの盛況ぶりをみせた。ライヴ当日、大スクリーンに会場の模様が映し出されると、館内は大歓声と拍手が!海外でも日本語で一緒に歌うファン、立ち上がってノリノリになるファンが続出。劇場は、味の素スタジアムに負けない盛り上がりと熱気に包まれた。その動員は20,000人を越える驚くべき数字を記録した。
 さて、リーダーのtetsuya曰く「明日、5月30日は20歳の誕生日。大阪のロケッツっていう小さなライヴハウスで初めてのライヴを やったんですよ」。 つまりこの“20th L’Anniversary Live”は、その生誕前夜祭。満二十歳を迎え、今後、ますます加速度をつけていく彼らの姿が目に浮かぶ。