坂本冬美 歌手の坂本冬美が17日、都内のホールで、一人っきりのコンサートを実施した。このコンサートは、坂本冬美の大ファンだった夫を亡くした一人の女性が出した1通の手紙がきかっけで、“唄う事の原点”を見つめ直す事を決意した冬美が、その女性と遺影の為だけに、4曲を唄った。
 5月中旬、冬美の故郷である和歌山県に在住する、40代の女性から手紙が届いた事に始まる。手紙には、坂本冬美の大ファンだった夫が癌で亡くなった事、出棺の時は冬美の曲で送った事、遺影と共に和歌山公演に行った事、そして、「頑張って!!」と語りかけてくれるような歌声が心にとても響き、『風に立つ』でとても励まされている事が綴られていた。
 手紙を読んだ冬美は胸打たれた。
 手紙の届いた5月はデビューから22年が過ぎ、「このままで良いのか」「自分は何の為に唄うのか?」という疑問が心の中に芽生えていた時期でもあり、さらにHISで共演した忌野清志郎さん、代表曲「夜桜お七」の作曲家、三木たかしさんが亡くなり、見えない迷路の中に悲報が重なるという状態だったが、手紙を読んで坂本冬美の疑問は解消した。落ち込んでいる場合では無い。これからは一人一人に歌を伝える事で、世の中を応援して行こうと決心した。
 「ファン一人一人に気持ちを伝えたいという事と同時に、私自身も、おじいちゃんを相手に歌っていた原点に帰る、と言う意味を込めての企画でした」と冬美。
 午後4時から冬美が、けやきホールステージに登場。女性が最も励まされた曲である「風に立つ」で“一人っきりのコンサート”はスタート。女性の地元である和歌山を主題とし、生前ご主人が熱望されていたが叶わなかった曲である「紀ノ川」、そして今最も癒されているという「また君に恋してる」を熱唱、最後は元気を貰っているという「アジアの海賊」で一人っきりのコンサートは幕を閉じた。
 選曲は手紙の主である女性の思い入れのある曲で行われたコンサート。たった一人のお客様である女性は、「とても楽しいコンサートでまた、冬美さんの歌から元気をもらうことができました」と大きな感動を受けていた。冬美は「今日はいつもと違いとても落ち着いた気持ちで不思議と歌に集中することができました。何も考えずに歌うことができた久々のコンサートとして今後も忘れられないコンサートになると思います」とコメントしている。
 これからの歌手人生を世の中に捧げていく第一歩として…そしてもう1度原点へと回帰する為に。今回のコンサートを機に坂本冬美は一人一人のファンに歌いかけていく。