甲斐バンド
活動に終止符を打った甲斐バンド。最終公演で熱唱(撮影・森リョータ)
 1974年にシングル『バス通り』でデビューし、以降は『HERO(ヒーローになる時、それは今)』など数々のヒット曲を発表して日本のロックシーンを疾走した甲斐バンド。昨年10月4日の埼玉公演を皮切りに、22会場23公演を行った全国ツアー『BEATNIK TOUR 08-09 THE ONE NIGHT STAND』のファイナル公演が7日、東京・武道館で行われた。「バンドはなくなっても曲や作品は残る」とリーダーの甲斐よしひろが語ったように、武道館でのライブが、甲斐バンドとしては事実上のファイナルコンサートだ。同ライブの模様はWOWOWで3月26日午後6時から放送。約3時間にわたって行われたファイナルコンサートの模様をレポートする。
 日本のロックシーンに多大な影響を与えた伝説のグループ、甲斐バンド。1974年のデビューから180万枚を売り上げた『HERO(ヒーローになる時、それは今)』をはじめ、『安奈』や『漂泊者(アウトロー)』など数々のヒット曲をリリース。興業面のみならず、ライブバンドとしても年間100本を越える公演や、花園ラグビー場、新宿副都心での野外ライブなど、ライブバンドとしても数々の伝説を残した稀有なバンドである。1986年に一度は解散を表明したものの、期間限定で活動を再開。だが、22年振りに行われた今回のツアーで35年間にも及ぶバンドの歴史に幕を閉じた。「これがファイナル。今はリラックスしてここに居ます。僕らは35年目になりますが、振り返れば充実した気持ちで一杯ですね。今日は、ライブで大好評だったものをすべて詰め込みますよ」とファイナル公演前に語った甲斐よしひろ。そんな彼らの最後を見守ろうと、約1万人のファンが武道館に駆けつけた。
 ロックの聖地、日本武道館での公演は、実に21回を数える甲斐バンド。「ホームグラウンド」と甲斐が語るように、慣れ親しんだ武道館には、彼らと青春の日々を過ごした中高年のファンを中心に、約1万人の観客によって会場が埋め尽くされた。オープニングSE『ルート66』が終って会場の照明が消されると、「ウォ~!」という驚嘆の言葉が会場の至るところで聞かれ、開演していないにもかかわらず、観客の熱気も自然と帯びてくる。そんな熱い観客を尻目に、ステージ上に上がったメンバーの面々が『きんぽうげ』、『感触(タッチ)』、『らせん階段』を淡々と演奏した。最初のMCで「今夜も目一杯やるからね。最後まで楽しんでいってね」と語った甲斐。以降も35年の集大成ともいえる彼らのヒット曲を熱演して観客を沸かせた。甲斐バンドを一躍全国区にさせた『HERO(ヒーローになる時、それは今)』や『安奈』、『漂泊者(アウトロー)』といった代表曲をはじめ、『裏切りの街角』や『かりそめのスウィング』、『ポップコーンをほおばって』といった初中期の作品が中心に構成されたファイナルライブ。
 また、田中一郎の冴え渡るギターワークが堪能できる『カーテン』なども必見。甲斐から「一昨年のステラボールの時にドラムを叩かなくてネットで叩かれたけど(笑)」と揶揄されるも、本職のドラムにギター、ボーカルと大忙しだった松藤英男も精力的にライブパフォーマンスを披露してくれた。特に『かりそめのスウィング』で熱演した松藤のギターは是非とも観て頂きたい。アンコールの最初に披露された『25時の追跡』(映像)も見逃せない。70年代や80年代の映像だと思うが、これまでの彼らの足跡を辿った映像の数々。ステージ上のギターに照明を当てて最後を締めくくるが、2004年に亡くなったギター、大森信和へのオマージュ的な要素もあり、目頭を熱くさせてくれた……。
 『LADY』の前奏で、甲斐が「今夜は本当に最高だ。みんな来てくれて感謝している。自分が曲を書くようになり、みんなにそうやって生きて欲しいと思ったことを書いてきた。ここまで振り返ると、それなりに自分のスタイルになっている。みんな、誇りを持って欲しい。目線を下げず、目線を上げろ。バンドは亡くなっても曲は残る。僕らは35年目を生きている……」と語った。35年という歳月は、途方もない年月だ。流行の激しい音楽業界において、35年間も活動したこと自体、賞賛に値する。そんな激しい業界に生き続けてきた甲斐の言葉の裏を読み取るならば、「名曲は、時代を超えても残り続ける」ということなのかもしれない。日本のロック界において、多大な影響を与えた甲斐バンド。もう彼らの姿を観ることはできないが、彼らが与えた影響は、これからも日本のロック界で語り継がれることだろう。
 『甲斐バンド BEATNIK TOUR 08-09 THE ONE NIGHT STAND TOUR FINAL』は、3月26日(18:00~19:30)にWOWOWで放送される。
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