ギター1本と唯一無二の歌声で、聴く者の心を揺さぶり続けるシンガー・ソングライター、秦基博。昨年10月にリリースされた2ndアルバム『ALRIGHT』を引っ下げておこなわれた全国ツアーの中から、2008年12月27日におこなわれた中野サンプラザ公演の模様が、1月15日にWOWOWにて放送される。また、1月21日にはニューシングル「朝が来る前に」をリリース。今回は秦本人に、ライブの見所と新曲に込めた思い、そして2009年に向けての抱負を語ってもらった。
――『ALRIGHT』リリースを受けての全国ツアーでしたが、これまでと比べて変化はありましたか?
 秦 基博(以下、秦) : ツアー中、1曲1曲の反応を見ていて強く感じたのは、お客さんが『ALRIGHT』をすごく聴き込んでくれているということでした。もともとアルバム制作の時点で、ライブのことを意識して作っていたんです。この曲はセットリストの中でどういう立ち位置を示すのか? とか。1stツアーをやってみて、「もっとこういう曲があればよかったのに……」と思ったことも含めてアルバムを作っているので、自分としても「やっとセットリストが揃ったな」という実感をもってライブに臨むことができました。
――『ALRIGHT』には「フォーエバーソング」「キミ、メグル、ボク」などのシングル曲の他にも、「ファソラシドレミ」「最悪の日々」のような、ある種の遊び心が感じられる曲もありますよね。ライブで披露したら観客のウケもよさそうだなと思ったのですが。
 秦 : 実際、「最悪の日々」はライブでもポイントになる曲で、お客さんも最高潮に盛り上がってくれるんですよ。自分でもそうなることを意識して作ったんですけど、自分の想像以上の反応をお客さんが見せてくれて。今回のライブでは弾き語りもあるし、アコースティック・セッションのような形での演奏もあって、いろんなバリエーションをもって表現していこうと考えていたんです。だからそれぞれの場面で、メンバーの表情とか歌とかを楽しめるんじゃないかと思います。
――秦さんといえば声が最大の魅力。でも今回は真冬の時期のツアーだっただけに、ベストな歌声を保つのに相当気を遣ったのでは?
 秦 : 声ってすごく微妙なもので、毎日のように同じ声が出るわけではないんですね。僕の場合、自分の声のハスキーな部分とそうでない部分がコロコロ変わってしまうなど、その日その日で声の"表情"が違うんです。ただ、それも含めた上で、その日一番いい歌声を届けられるようにしたいと思っています。冬の時期だと、電車や飛行機での移動は空気が乾燥しがちなので、基本的にずっとマスクを着用していました。あとは加湿器を用意してもらうとか。
――今回のツアーのファイナル公演は、12月26、27日の中野サンプラザ2daysでした。
 秦 : 中野サンプラザに関しては、「とにかく音がいい」という評判を聞いていて、僕自身が過去にライブをした時もそう感じました。ホールでのライブって、そこで鳴らされる音を楽しんでもらうことが醍醐味だと思うので、音のいい中野サンプラザで自分たちの曲を聴いてもらいつつ、一方でライブハウスのような感覚で一緒に盛り上がってもらえるといいですよね。ちなみに2days同会場でのライブは今回のツアーが初めてだったけど、過去に1日挟んで同じ会場で2日連続のライブをやっていて、その時に手応えはつかんでいたのでとくに心配はしていませんでした。心配事といえば「初日の後に酒が飲めないな……」ということくらい(笑)。
――中野サンプラザ公演が08年最後のライブでしたが、「この日が1年の集大成」との思いがあったのでは?
 秦 : 僕自身、08年はほとんど『ALRIGHT』のための一年でもあったんです。もちろんアルバムを作ったら終わりというわけではなく、ライブを通じて曲を直接ファンに届けることや、アルバムを聴いて集まってくれた人たちとコミュニケーションを深めることも含めて。そしてツアー中も、各会場でいろんな経験をしました。この1年で吸収したものをすべて中野サンプラザに持って帰ってきているので、その点でもファイナル公演がどんなライブになったか、期待してほしいですね。
――今回のツアーでは、新曲の「朝が来る前に」も披露されていますよね?
 秦 : はい。アンコールで演奏しています。
――この曲は1月21日にシングルとしてリリースされますが、この時期にこの曲を出すと決めた理由は?
 秦 : 『ALRIGHT』を作り終えた時点で、これまでのアルバム制作を通じて、ある程度まで自分のイメージを形にできたんじゃないか、との思いがありました。だからこのタイミングで、自分の原点ともいえる「朝が来る前に」を聴いてもらうのが、すごく意味のあることだと思ったんですよね。それと曲自体が冬のバラードなので、季節的にもこの時期のリリースがぴったりだと思いました。
――秦さんにとっての「原点」とのことですが、この曲はいつ頃作られたのですか?
 秦 : メジャーデビュー前の2005年頃です。当時は自分の表現を見出せず、すごく迷っていた時期でもありました。そんな煮えきらない自分から旅立とうとの思いがあって、この曲の原曲が出来上がったんです。そういう意味でも、自分にとって始まりといえる曲だと思いますね。歌詞については、いまの自分のフィルターを通して当時の心境を表現したいと思い、全編書き直しましたが、「いままでの自分にさよならして、前に進んでいこう」という気持ちはそのまま残っています。
――歌詞の中で、「胸のフィラメント」という言葉が最も印象に残りました。
 秦 : その言葉は原曲ができた頃からずっとありますね。冬の冷たい空気のなかで、弱々しい光かもしれないけど、自分の胸の中に確かに存在するものを表現したかったんです。たとえば自分の中に潜む情熱であったり、自分も知らないもう1人の自分であったり……。そういったものが「フィラメント」という言葉と結びついたんですよね。
――「朝が来る前に」をリリースした後、3月6日に初の日本武道館公演も控えています。秦さんとしては、2009年をどんな年にしたいと考えていますか?
 秦 : 2009年の始まりに「朝が来る前に」という原点の曲から"秦 基博らしさ"をどう表現していくか? というのを突き詰めていきたいと思います。じつは武道館公演の後、今回のツアーで回りきれなかった町まで直接歌を届けに行こうという計画があって、自分の原点でもある弾き語りをさらに鍛え直したいと考えているんです。自分の体験がどんどん次につながっていくので、中野サンプラザ公演も2008年の集大成であると同時に、2009年の活動の第一歩だと思って見てもらいたいですね。
 WOWOWは1月15日(夜7:00~)より、「秦 基博 CONCERT TOUR 2008 -ALRIGHT-」を放送。2008年12月27日におこなわれた中野サンプラザ公演から、ニューシングル「朝が来る前に」をはじめ、新曲・ヒット曲満載でおくる。(記事元・WOWOW)
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▽番組紹介ページ
http://www.wowow.co.jp/pg/detail/051239001/index.php