らっぷびと ネットラッパーのトップランナー“らっぷびと”に問い合わせ殺到中だ。

 らっぷびとは大槻ケンヂが歌う“さよなら絶望先生”のオープニング曲『人として軸がぶれている』のらっぷバージョンと称し、サビのメロディまで勝手に乗せ変えてしまった『人として軸がぶれているらっぷ』がニコニコ動画で大ヒットしたことをきっかけに急激に知名度が高まった。

 今月10日に“さよなら絶望先生”をコンセプトに制作した「大槻ケンヂと絶望少女達」のイメージアルバム『かくれんぼか、鬼ごっこよ』(キングレコード)にもボーナストラックの『空想ルンバらっぷ』にて参加。本家公認ともいえる存在にまで発展してしまうというインターネット界のシンデレラボーイとでも呼ぶべき注目の存在だ。

 そんな「らっぷびと」の自主制作アルバム、「スーパーラップロードDX (以下DX)」がいま全国各地のビレッジバンガードを巻き込み話題になっている。

 このアルバム、元々は今年の夏に販売された「スーパーラップロードEP(以下EP)」の豪華版という仕様で、その夏の時点でも、既に幻化しているアイテムだった。今回の「DX」は、EXIT TUNESからリリースされた、らっぷびとのファーストアルバム「RAP BEAT」にて好調なリリースを記録しているヴィレッジヴァンガード下北沢店からの熱烈なラブコールによって豪華版の再リリースが決定した。

 ヴィレッジヴァンガード下北沢店のスタッフによると、発売日からたったの2日で実売枚数が300枚を超えており、これはかつてPerfumeやSotte Bosseといった大ヒット作のきっかけにもなっている同店始まって以来の記録的な数字。その後も毎日かなりの数が売れているというものの、初回プレスのみ、再プレスは一切なしだという今作が完売するのは時間の問題だろう。

 また、今作のあまりの反響の大きさに、普段は店舗から直接の通販は行わないヴィレッジヴァンガードが特例的に通販を行ったところ、北海道から沖縄まで、文字通り全国津々浦々からの発注が殺到し、らっぷびとというアーティストがメジャーデビューリリースを前にして、全国レベルの根強い支持層がいることを証明し、さらには、インターネットというメディアの持つポテンシャルを感じさせる結果となった。

 今作の白眉にして最大の山場は、「EP」には収録されていない、2曲目の「BASIC STANCE」になるだろう。タイツォン、ILL.BELLというネットラップ界の実力者(タイツォンは動画サイトの歌い手としても絶大な人気を誇る)との3MCスタイルによる驚嘆すべきマイクさばきもさることながら、ネットラッパーとしての所信表明ともとれるリリックは、改めてらっぷびとというラッパーの特異性を浮き彫りにしている。

 またそれを支えるトラックも、荒削りな部分を感じさせつつ、フレッシュにしてかつ、ポップネスに溢れており、この曲の魅力を更なるものにしている。10曲目の「ヤミツキ」ではらっぷびとが以前参加していたユニット、ロンピンクルーのメンバーが再集結するなど、「EP」を既に持っているコアなファンにも訴える、実に魅力溢れる仕様になっており、しかもこれが税込みで1500円だというのから驚きである。

 ネット発のアーティストらしい、自由な空気を身にまといつつ来年2月には「まさか」のメジャーデビューが決定している、様々なフィールドを軽やかに横断するらっぷびと。インターネットが輩出した新しい音楽シーンの幕開けともよべるアーティストから、目が離せない。